京都大学東南アジア地域研究研究所リサーチコモンズ
Research commons in Center for Southeast Asian Studies, Kyoto University, Kyoto <2020.7>
本プロジェクトは、京都大学東南アジア地域研究研究所の東棟改修に伴って多様な人材が日常的に意見交換や交流ができるオープンスペースとして設置されたリサーチコモンズのインテリアである。敷地内には、京都大学の歴史的建造物である旧京都織物会社本社が存在し、現在は図書館として東南アジアの貴重資料が収められている。この煉瓦造りの図書館に中庭を介して対面する位置にリサーチコモンズは配置された。我々は窓辺こそがこのオープンスペースにおいて最も重要であると考え、3つの窓を包括した木フレームを挿入し、テーブルや棚としての機能を充足させるだけでなく、光の振る舞いが感じられ豊かな環境を顕在化させる中間領域をつくり出した。また既存設備と平行に配置された木レールによって約60㎡の一室空間に奥行きをつくると共に、中庭の植栽を引き込むように設置した動く植栽ポットは心地のよい自由な学習・対話環境をつくり出している。
インテリアのディティールに着目し、重層的な時間を感じられる豊かな環境を、ほんの少しの操作で顕在化させる計画である。
[作品データ]
場所:京都府京都市左京区吉田
主用途:リサーチコモンズ
改修面積:68㎡
施工:CORRED DESIGN OFFICE
作品に関するデザイン論文:
・太田裕通, 北村拓也:重層的価値を顕在化する小さな造作 京都大学東南アジア地域研究研究所リサーチコモンズのインテリアデザイン, 日本デザイン学会 デザイン学研究作品集26巻1号, pp.26-29, 2021.3 26