風景の風向き「側の家」

変わりゆく地域に対して建築は何ができるか。大阪府枚方市・野村元町は淀川水系に沿った農村集落で、江戸期の家屋や蔵、路地や小さな神社などの断片が残る一方、高度成長期以降のスプロールや近年のミニ開発により、風景は大きく変容してきた。本敷地は築150年の母屋に隣接し、農村集落と新興住宅地の“はざま”に位置している。地域に散在する蔵や小屋の佇まい、路地のスケール、門と車庫の混交、重なり合う屋根、そうした断片を拾い集め、現代の住まいへ再編集した。若い家族と犬のための平屋は、ずらしながら重なる9枚の屋根で構成され、農村集落に蓄積された時間を眼差しつつ、“はざま”をやわらかく取り持つ。敷地の東西南北に5つの庭を設け、多様なふるまいを受け止めながら、縁側や庇を介して日常と外部環境をつなぐ。各時代の痕跡を受け入れつつ、風景の風向きをそっと変える。小さな応答としての建築である。


Architects of the Year 2025
開催期間:2025年10月25日(土)– 11月8日(土)12:00–18:00、11月9日(日)12:00–16:00
会場:日本橋の家(大阪市中央区日本橋2-5-15)
コミッショナー:松本 明
プロデューサー:竹口 健太郎
アドバイザー:林 陽一郎
主催:日本建築設計学会(ADAN)
協力:金森 秀治郎(日本橋の家)