大阪・靱公園のスタートアップ・オフィス/ショップ 「萌芽の器」
Start-up office/shop "Small architecture for budding" in Utsubo park, Osaka <2018.5>
空間をつくると共に、これまで見出されていなかった魅力的な都市の文脈を描くことで、事務所/店舗として使われる場のブランディングとなるプロジェクトである。敷地は大阪の靭公園に隣接するビルの屋上に増築されたペントハウスである。周辺を調査すると、同じような増築部に入居するデザイン事務所や雑貨店等を数多く発見した。これらは普段意識されないこのエリアの魅力的なアイコンであると共に、大阪の一等地に有りながら低予算で借りられる謂わば「若者による萌芽的活動の器」としても捉えることが出来る。そこで我々はこのような都市の見方をヴィジュアルプレゼンテーションとして顕在化させる事から始めた。これによって、4Fに登るまでの道のりがデメリットではなく楽しい体験になるのではないか。内部空間設計においては、床面積24平米内に事務所兼店舗の用途を共存させること、ペントハウスが持つバラック的な装いと調和し、低予算かつ自力で空間を作る設計手段をを取ることを考慮した。結果、19Φのメッキパイプの造作により、棚、机、照明、展示パネル等を一挙に解決し、かつ小さなスペースながら奥行きのある靭公園の樹木群のような空間が実現した。アンティーク品を置く棚は経年変化する木・鉄の板を使用している。時間を重ね、かつ更新するという相反する要望に対する応えである。
[作品データ]
場所:大阪府
用途:オフィス兼店舗
改修規模:25㎡
協働メンバー:三浦祐斗(大工),北村 知里(古道具北村)その他アーティスト多数